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 Creation and photochemical conversion of artificial leafs

研究成果research achievements

2018年度研究成果

@プロトタイプセルの作製と評価法の確立

 

プロトタイプの人工葉ならびに水の光分解反応を行うセルを作製した。SEM観察の結果、セル中で各層が均一に積層されていることが分かった。XRD測定の結果から、光活性層であるCH3NH3PbI3 (MAPbI3)膜は14.1o28.4 o31.8 oに一連の回折ピークを示し、3次元ペロブスカイト構造を有することが分かった。また、800 nm付近を吸収端とする可視光領域の幅広い光吸収を有しており、光活性層として機能することが明らかになった。AM1.5Gの白色光照射下におけるプロトタイプセルのJ-V曲線を測定した。素子の短絡電流密度、開放電圧、フィルファクター、光電変換効率はそれぞれ6.19 mAcm-20.71 V0.421.83%であった。現在、銀触媒を用いた水素発生の検討とセルの耐水化を行っている。

新規な酸化・還元電極の構築を目指し、耐水性および化学的耐久性に富む金属酸化物をベースとした光活性層の創成とそれらの特性評価を実施した。光活性層として機能する半導体薄膜材料としてビスマスフェライトBiFeO3p型)および酸化チタン(n型)などに注目し、ガラス基板上における材料作製手法を確立すると共にそれらの可視−紫外領域における光応答特性を確認した。あわせて、これらの光活性層を組み合わせた酸化・還元電極構造を模索するとともに、微量イオン添加などを利用した光応答特性の制御に関する試みを開始した。

 太陽光に含まれる可視光より長波長の近赤外光を吸収可能なpn接合を含むGaInAsP多重量子井戸構造を結晶成長し、人工葉構造を作製し、光電気変換特性の評価を行った。さらに人工葉の光吸収面積を向上するために基板に対して吸収体が垂直に並んだ柱状構造のナノワイヤの結晶成長を行った。直径数10nmInPの柱状構造を囲むように数nmGaInAs層とInP層を交互に積層したコア−シェル構造、InPの柱状の上に垂直にGaInAs層とInP層が積層されたヘテロ構造のナノワイヤ構造の結晶成長を行い、それぞれ光学特性の評価を行った。

 新規人工葉の水分解能の初期評価、および人工葉の耐久性評価に向けて、発生した微量水素を定量化するための半導体ガスセンサーを検出系とした昇温脱離分析装置の立ち上げを実施した。当初、高温側で放出されるバックグラウンド水素の影響により微量水素の定量が困難であったが、各部品の脱水素処理などにより、ppmppbレベルの水素を定量的に検出可能となった。また、今後、人工葉の耐久性試験、寿命の予測に向け、力学試験装置を立ち上げ、評価に向けた準備を行った。  

A実反応場を考慮した多階層量子シミュレーションの確立

光活性層として着目されている三次元有機-無機ペロブスカイト化合物の中で,脚光を浴びているハライド系有機-無機ペロブスカイト半導体(CH3NH3PbI3)に着目し、最も信頼性が高い結果が得られる計算方法の構築を試みた。基底関数には有効内殻ポテンシャルを用いたLANL2DZ関数を用いさらに、密度汎関数に短距離スクリーニング混合汎関数であるHSEh1HSEを使用した。単位セルを用い、周期境界条件のもと結晶構造の最適化を実施した。得られた我々の結果は、構造パラメーターが少し異なるものとなった。主な理由は,基底関数と密度汎関数の違いが原因と思われる。一方、既存のGaussian 16パッケージでは、バンド構造の計算は現状では出来ないことが判明し、引き続き最適な方法とプログラムパッケージの探索を実施する。


2019年度研究成果

     

@プロトタイプセルの作製と評価法の確立

標準型と逆型構造を有するプロトタイプの人工葉セルを作製した。両タイプのMAPbI3膜のUV-vis吸収スペクトルにおいて、800 nm付近を吸収端とする可視光領域の幅広い光吸収が観察された。 また、XRD測定の結果、 (110)(210)(310)の結晶面の回折に相当する14.1°、 28.4 o、 31.8 oの一連の回折ピークが観察された。標準型のFTO/ compact TiO2/ mesoporous TiO2 / MAPbI3 / Spiro-OMeTAD /Auと逆型のFTO/ PEDOT:PSS/ MAPbI3/ PCBM /Ag構造の電池素子を作製したところ、どちらの構造においても発電が確認されたが前者の方がより高い効率を示した。


Ap-n接合型酸化・還元電極の製作

     

昨年度の研究進行により材料特性の確認がなされた光活性層BiFeO3p型)およびTiO2n型), ZnOn型)を利用し、p-n接合型酸化・還元電極の製作を試みた。あわせて試作デバイスの電気伝導特性ならびに光応答特性の評価を実施した。これらのデバイスでは可視−紫外領域における光吸収特性に加え、光照射下における電気伝導機構の明確な変化が確認できた。引き続いてこれら試作デバイスの発電特性に係る検証を進めると同時に、各種の環境試験(耐湿・耐水・耐熱、等)を実施中である。

B半導体人工葉のための結晶成長

 

太陽光の吸収を可能とするための半導体結晶の開発に関する研究を進めた。これまでは太陽光に含まれる近赤外光(波長1μm〜1.6μm)を吸収するInP基板上GaInAsP系半導体結晶の開発を行ってきたが、太陽光の吸収を効率的に行うためには可視光の波長帯を吸収する半導体結晶が必要である。そのためにGaAs基板上GaInP半導体結晶の成長条件を把握した。また構造的には太陽光の受光面積を拡大する半導体ナノワイヤ構造の開発を行った。


C微量水素の検出および定量


昨年度に引き続き、微量水素の検出および定量に取り組んだ。半導体ガスセンサーを検出系としたガスクロマトグラフィ型昇温脱離装置のキャリブレーション方法を見直し、標準水素ガス濃度とキャリブレーション値が微量水素範囲で線形でないことがわかった。微量水素範囲のみを細かくキャリブレーションすることで、より精度の高い微量水素の定量を実現した。また、材料の耐久性評価に関しては、まずは金属材料を用いて基盤技術確立に取り組んでいる。


Dハライド系有機-無機ペロブスカイト半導体のシミュレーション


昨年度に引き続き,ハライド系有機-無機ペロブスカイト半導体(CH3NH3PbI3)の結晶モデルを作成するために,MDシュミュレーション実施し、室温での安定構造探索を決定した。得られた結果は既報論文で判明している構造に近いものとなった。そこで,この結晶構造を基に我々は開発したPME-QM/MMモデルを作成し,光吸収スペクトルの再現を試みている。具体的には,量子化学計算に第三世代DFTと言われるM062X汎関数を用い,基底関数にはロスアラモス研究所が開発したLanL2DZを使用し,テストを行っている。

人工葉の創成とその光化学変換

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上智大学 理工学部

物質生命理工学科

機能創造理工学科